2012年3月19日月曜日

QMS:ISO9001:2008の序文をQMS構築・運用に役立てる(その2)


20年以上も前にISO9000シリーズが登場した初期では、ISO9000シリーズか、TQC/TQMかどちらを行うなどと比較されたことがありました。今考えると、目的は同じであり、よいとこ取りをすればよいものを、日本ではこのように選択の文化があるようです。昨今の日本人は議論好きな国民で、曖昧さを残しつつも優劣をつけたがると言います。先祖の大和民族の様に、対話(dialogue)し、共通の基盤を見つけ、よいとこ取りをして、融和し、発展させるのがよいですね。


現在は、どちらかというと、「TQC/TQM」を習得している人が少なくなり、対話のテーブルに着けなくなり困ることが多いですが、それば別の話として、規格がいうプロセスアプローチは、「TQC/TQM」でよく使うフレーズ「よい結果を得たければプロセスで品質を作り込め」と同じことです。


なにか問題が発生すると、不適合品を顧客に届けないためのチェック・検品を増やすのではなく、プロセスにおける課題を明らかにして課題を実現し、問題を解決するようにしなければ、モグラたたきになります。安易なチェック・検証は資源のムダ使いとなり、モラルを低下させ、生産性が落ち、納期もより緊迫するようになります。


規格書のプロセスアプローチのところで、図1として「プロセスを基礎とした品質マネジメントシステムのモデル」というのが描かれています。これは、プロセスアプローチを説明するには、舌足らずと言われています。何か「PDCA」の説明のように受け止めてしまます。(詳しくは、ISO9001:02008要求事項の解説:日本規格協会出版:2,600を参照)


この図の重要なメッセージは、組織のQMSのインプットもアウトプットも「顧客」であることを示しています。規格は、「組織は、~しなければならない」などの表現で記述されていますが、これは、「組織の顧客」が、「組織」に向かって、「~しなければ、お宅の製品を買ってあげないよ」といっていると解釈するとよいと言われています。


いつも顧客目線で当社の仕事を視てみることで、顧客満足を継続的に維持し、組織の持続的成功に寄与する当社のQMSとはどのようなものにすればよいのかが分かります。 変えなければならないところは迅速に変える、変えてはならないとことは絶対に変えないと自信を持って言えると思います。


本当に悩み考えるところでない枝葉末節な「文書はどこまで作成しないといけないのか」「記録には何を書かないといけないのか」「ISOは、やはり膨大な文書と記録を要求するのか」などについても、社外のものに問いかけるのではなく、自分で答を出すことができます。

自分が「顧客」だったら、日常的な作業実態を見ることのできない顧客に、この文書や記録、その内容で理解して頂けるか、納得して購入しようとして頂けるかで判断すればよいと思います。堅い言葉ですが、言い換えると説明責任(Accountability)を果たせるかを自問自答することかと思います。


分厚い、大量の文字の羅列、意味・目的不明の記号、つじつまの合わない記述、誰が責任を持つのか分からない紙や電子媒体の「モノ」で納得できますか?

簡潔、明解、合目的で正に活動の状態が手に取るように伝わってくる「動的」なものが品質文書・記録と言えるのではないでしょうか。

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