QMSの活動とは、品質マニュアル、品質関連文書、記録を作成することではありません。組織を構成する人々の考え方、日常のすべての活動、ひそひそ話や胸の内まで含めたものが「QMS活動」です。
品質マニュアル、品質関連文書は、QMS活動において、組織で必要と考えたもの、すなわち「見える化」しておかなければ問題を引き起こすことが懸念されるものについて、そのリスク軽減のために「見える化」するものです。また、「見える化」すると必要とする人々が同じものを見ることになりますので、改善・改良が容易になるという利点も生まれます。
要するにリスク軽減のために「見える化」をするのですから、文書・文字数が多すぎたり、内容が曖昧だったり、文書間の不整合、文書記述の誤謬などは、新たなリスクを生み出すことになります。 従って、「見える化」したものは整えた状態にしておく必要があります。文書化の程度を考えるときには、必要とする人は誰か、どのような時に見るのか、などの視点でよく考えて整えることが大切です。
認証規格であるMS規格が文書や記録を求めている箇所が何カ所かありますが、例えば「QMS活動について、組織がやると決めたことをちゃんとやっていますよ」ということを内外に示す、言葉をかえると説明責任を果たすのに便利だからです。文書・記録の多い少ない、内容の程度などは、説明責任を果たすときに有益かどうかで判断されるとよいと思います。
品質マニュアルを規格項番の通り作成している場合、この説明責任の観点で考えて、活動の流れ・結果について筋道を立てて他の人に説明できるか、規格の言葉で言えば、プロセスが繋がっているかについて検討が必要です。点を線にするのは大変です。まして面、立方体にすることは不可能に近いです。加えて現実の仕事は、時間軸も加わり、また相手もあります。
規格項番、規格項番の要求事項の順番でそのままに品質マニュアルを作成すると、「点」の状態を表した文書になりがちです。審査でのQ&Aの対応のしやすさや、何年かごとに改定される規格対応を考えると、規格項番順が必ずしも悪いとは言いませんが、ご自分達の仕事の順を軸として組み立てられる方がよいと思います。業務フローチャートなどで整理するとよいと思います。
その際規格との整合を取りたいと考えられるなら、フローチャートに規格項番や注記を追記することで、現状の仕事のやり方、確認のポイント・要件が整理できます。ムダやムラ、ムリも発見できます。
お薦めは、まずは現状を書いてみることです。「あれっ」と思ってもまずは現状(As-Is)を書き上げてから、有るべき姿(To-Be)を考えることです。途中で格好をつけて有るべき姿で書こうとすると、多くの工数や時間がかかり、また「絵に描いた餅」になりやすいです。
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