QMS、EMS、ISMS、ITSMS、FSMS等のISOのMS(マネジメントシステム)規格は、アングロサクソン人の思考で考え、英文で書かれています。日本では、国際規格がある場合は、国内規格(JIS)を別途作成せず、当該の国際規格を採用することとし、多くの日本人が読んで分かるようにISO規格を翻訳したものがJIS規格です。
従って、その文意は思考や慣習が日本とは異なるにも関わらず、一般的な日本人の思考や慣習で日本語としてJIS規格を読むと、どうしてもISO規格の意図するところと異なる解釈が生まれやすいようです。
今はJIS規格を読んでいるんだと自分自身に言い聞かせても、よほど強く意識しない限り、「ことば」の持つ本来的な意味合での解釈(言霊とよく言われる)に自然となるからではないでしょうか。
JIS規格をISO規格の意図するように理解する、学ぶ方法として以下があります。
1.規格書にある、或いは引用規格等にある「用語の定義」をまず理解することです。ISO規格やJIS規格で使用している主要な「用語」は「定義」されています。しかしこれらは、一般の辞書にある内容や日常的に使う言葉の意味とは必ずしも同じではありません。
2.JIS規格書の後半部にある「解説」をしっかり読む。ここにはかなりの情報が記載されており、「なるほど」と思うことが多く、お勧めです。
3.日本規格協会発行の各規格別国内委員会が監修している解説書をしっかりと熟読する。
4.理解したい規格だけではなく、関連する、参考になりそうな他の多くの規格書を読む。そうすることで何となく規格というものの位置づけ、考え方が理解できます。
5.出費は嵩みますが、思い切って「対訳版」も読破する。同じISO規格を翻訳していますが、その使用目的や位置づけが違うことから直訳に近く、JISとは微妙に日本語表現が異なります。
6.ISO規格に関する英語の解釈本があります。著者によりますが参考になることがあります。しかし、立場の違いから、一般のコンサル本のような自分流解釈が時々混じっていますので、公式本と同様に全て受け入れるのではなく、自己判断が必要です。
7.公式なセミナーでの講話、信頼できる審査員の解説。
など。
一方理解する上での考え方でいえば、
世界的にも通ずる日本的な視点、例えば「三方よし」で考えて、腑に落ちないと思えるときはどこか誤解していると考えた方がよいと思います。「真の顧客」のためにならない、「仕事」に悪影響をもたらす、「法規制」に触れるような解釈は、決して「企業の持続的成功」に繋がりません。そのような状況・結果を招く規格はないと思います。
また、規格文では「誰」が要求しているのかを明記していませんが、意識して読み込むことが重要です。序文にPDCAモデル図が掲載されていますので、そこに「誰が要求しているか」が掲載されています。
あくまでも、受け身でなく、プロアクティブな視点で規格の意図を考えることがよいと思います。誰の要求で、誰のためになるのかをしっかり抑えることで規格は役に立つ道具になると思います。
もし、規格の解釈を学ぶ上で「魔法の杖」があるとすれば、規格の意図を適切に理解し、各社毎の経営のツールとなる仕組みを支援解説できるコンサルタントを見つけることかもしれません。
そうすると「魔法の杖」というよりも「ドラエモン」のポケットでしょうか。従って、頼りすぎには注意しましょう!
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