規格の意図を汲んだマネジメントレビュー(以降、MRと称します)をされていますか?
MRは、どのような目的で実施すればよいのでしょうか。
常日ごろから自社のことは経営陣が一番知っている。年に一度や二度のレビューなど悠長なことを言っているようでは「規格は甘い」、などとおっしゃる気持ちは十分理解できますが、ここは「ぐっと」堪えて、
・内部監査の結果として監査チームや監査責任者がISMSの有効性を評価した報告内容、
・ISMSの有効性をレビューした管理責任者・事務局、IS委員会結果の報告内容、
・監査責任者や管理責任者、IS委員、従業者の活動の結果である改善提案の内容
等々じっくりと見て、自分の評価と比べてください。
同じだったでしょうか?
また、昨年、一昨年と比べて、トレンドや特徴的な事象など気になることはありませんでしたでしょうか。
これらを評価するに必要にして十分なMRのインプット内容でしたでしょうか。
規格がMRに期待しているものは,MRの目的とともに実施項目が,規格7.1 一般に明記されています。要約は以下の通りです。
「経営陣自ら,組織のISMSが引き続き適切であり、妥当であり、かつ、有効であることを確実にするために、あらかじめ定めた間隔(少なくとも年1回)で、ISMSをレビューすること。」
・当社のISMSは引続き適切であり,妥当であること(陳腐化、形骸化していないか)
・当社のISMS基本方針,ISMSの目的をも含めてISMSが有効に機能しているか(経営に役立っているか)
上記がMRの主な目的です。
MRでは「ISMSに関する改善の機会,変更の必要性の評価」を意識して行ってくださいと言っています。言い換えるとISMSの改善サイクルである「PDCA」が適切にまわっているか、当社の利害関係者への説明責任としてのエビデンスに問題はないかを大局的にレビュー「C」して、足らずや新たなことがらなどがあれば指示・示唆してくださいといっています。
外部審査で審査員から重大な指摘をもらわなかったとしても、当社のISMSは問題があるかもしれないと思っていても、経営陣が改善に向かうように指示しなければ、組織は改善が進まず、形骸化だけが進み、ますますリスクが増大します。 大きな事件・事故を引き起こせば、最後の責任を取らないといけないのは経営陣です。
・ISMS基本方針,情報セキュリティ基本方針の変更の必要性の有無
・ISMSの目的・目標の変更の必要性の有無
・ISMSの変更・改善の必要性の有無
を経営陣目線で視て、ISMSの運用、維持に関することを、提出・説明されたMRのインプットと比較し、監査責任者、管理責任者、IS委員等と十分な「対話:dialogue」を行い、その結果を、経営陣が決定し、その内容を明快にMRのアウトプットとして開示するようにされるとマネジメントシステムは経営のツールとしてあり続けます。
従業者は、経営陣の言動を注視し、そして背中を観ています。従業者の言動は経営陣の映し鏡だと思います。何事に付け、最後の砦が経営陣です。
やはり経営陣というのは大変ですよね。