2012年4月10日火曜日

QMS:規格を読むに際して用語の再確認(3)


record」:
今までは「record」を「品質記録」と訳していたものを単に「記録」と称しているのは2008年度JIS翻訳の修正です。原文では「quality record」と言っていないことと、検査記録だけと解釈される可能性もあったことからと思います。 いずれにしても「QMSの効果的な運用の証拠としての記録」という理解に変わりはありません。 

conformity」:
 「product conformity」を「製品の適合」と訳し、それ以外の「conformity to(product,
Statutory and regulatory) requirements」の場合は「(要求事項への)適合」に統一されました。これは、用語の定義(JISQ9000)が「要求事項を満たしていること」「参考2 用語“conformance”は同義語であるが、使ってはならない」となっているためです。

 しかし、ISO9000では、「The term “conformance” is synonymous but deprecated」は「同義語に見えるが、使わない」と理解できますので、全く反対の意味になります。

更に、ISO9000では、「conformity」は「fulfillment of a requirement」ですので「要求事項の実現(実行・遂行・履行)」という性質を言っていると思います。従って「適合」ではなく、「適合性」であり、JISQ9001:2000の時(JISQ9000用語の定義とは異なる)の方がISOの意図に近いと思います。「適合」であれば、「完全100%」との解釈となって現実的ではありません。 

この書籍のように明解に解説されると、自分の解釈と同じであったので「ほっ」としたことを覚えています。しかし、私だけでなく大半のひとは常識も働かせて、従来からISOの意図することを感じ取り対応しており、JIS表現・字句では文脈から判断していると思いますので、実態としての大きな問題は生じていないようです。


しかし早く、JIS規格を変更して欲しいです。

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