2012年6月26日火曜日

QMS:規格6.3 インフラストラクチャ


経営資源の中で,

1.建屋,作業スペース,各種ユーティリティなどの基盤インフラ

2.設備機器とそれを動かすためのソフトなどの設備インフラ

3.輸送,通信などの情報システムなどの情報インフラ

4.その他のインフラ

尚,規格はこの条項で対象にするのは「プロダクト要求事項への適合を達成する上で必要」なものとしています。仕事のことは全てQMSで整理するのであれば,規格の意図以外のものもあっても問題ありません。

ヒト・モノ・カネ・情報・経営のスピードなど,時代と共に経営資源の範疇が増えてきており,それらをひっくるめて,「広義のプロダクト」があるわけですから,「狭義のプロダクト」や「正に製品の品質保証」に留まっていたのでは,ISOは「投資」ではなく「コスト(経費)」になって閉塞感が漂います。

事業リスクや事業継続なども必要であれば,「広義のQMS」として役立つのであれば,項番を追加してでも,QMSのマネジメント領域にする方法もあります。

2012年6月25日月曜日

QMS:規格6.2.2 人的資源 力量,教育・訓練及び認識(4)


d) 組織の要員が,自らの活動のもつ意味及び重要性を認識し,品質目標の達成に向けて自らがどのように貢献できるかを認識することを確実にする。」とありますが,これは

「自ら活動の品質目標の達成との関連性を認識していること」ですから,仕事のマニュアル等にその仕事は何のためにやる(目的)のか,なにの役に立つのか書いておくとよいですね。

人間,仕事に目的があり,「頑張ったぞ,やった~と」実感できると,「よい仕事」をするようになります。個々人も週に数回は,「ガッツポーズ」ができるような目標設定ができル仕組みがよいと思います。


時々,a)c)の次に,d)があり,おまけにe)に記録のことが書いてありますので,このd)もトレーニングの続きとばかり,「自覚・認識教育を行う」とされている企業がありますが,「ダメ,間違い」ではありませんが,なにか「洗脳教育」のように感じられて,これなども,ISO/JISの悪い評判を生んでいる一つかも知れません。


e)教育,訓練,技能及び経験について該当する記録を維持する(4.2.4参照)。」では,ISOは,「education教育」と「training訓練」「skills 技能」「experience経験」と教育と訓練を分けて書いて有るのですから,6.2.2のタイトルの「教育・訓練」ではなく「トレーニング」に替えてほしいですね。

2012年6月17日日曜日

QMS:規格6.2.2 人的資源 力量,教育・訓練及び認識(3)


1.作業単位を決め,プロダクト要求事項を満たし,作業効率(手順書を見ながらでは困りますね)を考えて,必要な力量を決まる。ただし,交代や補充が当面ない作業であれば,順次とか適宜でもよいでしょう。

2.その作業にあてる可能性のある要員の現在の力量を評価する。

3.必要な力量にギャップがあれば,実際にその作業に就けるまでにトレーニングを行うか,作業の質,効率性,コストなどを考えて,その候補者を就けずに(将来はあるかも)他の力量のある人に交代させるか,外部委託を考える。

キャリアパスや要員の将来,会社の将来構想から先行したりしてトレーニングをおこなうのは会社の自由判断です。


各要員の力量は,完璧を考えなくとも,当面分かる範囲で調査しておくとよいと思います。今実際に作業に就いている要員の力量を調査することが,その作業に必要な力量になることもあります。

現実には,現在就いている作業に必要な力量を超える方や,他の複数の作業に必要な力量を兼ね備えている方が大半と思います。これらの調査を行うことで,「人材」ではなく宝の山の「人財」が分かります。場合によっては,他のビジネス領域へ進出可能な「人財」が眠っているかも知れません。


QMSは,締め付けや規則規則のかたぐるしいものではなく,新しい発見や,やる気をもたらすもの,個々人がアピールできるものであって欲しいですね。

2012年6月10日日曜日

QMS:規格6.2.2 人的資源 力量,教育・訓練及び認識(2)


企業は,従業員に対して,仕事を間違いなく,また必要な作業効率で実施させるために「教育」ではなく「トレーニング」を行ないます。「教育」であれば,学校のように従業員から「授業料」を取ることになります。「訓練」は,日本では,「地獄の特訓」を思い浮かべるかも知れないので,JIS語である「教育・訓練」を創作したのかも知れません。

(翻訳委員会は,とても親切で,親心があり,大感謝していますが,ここは「気を遣いすぎて,返って誤解を生じている」感もあります。)

規格は,過去の学校教育,職業教育,訓練の経歴,本人が持っている技能の評価,それまでの各種訓練の実績評価,従来の経験を踏まえて,担当する仕事に必要な力量があるかを判断して,力量がある要員を仕事に就けなさいと要求しています。

もし,力量が不足しているときは,トレーニングを受けさせ,あるいは指導を受けながら作業をおこない,しかるべき指導者がその確認をすることになります。

作業の質が確保できないようであれば,他の力量のある人に替えるか,場合によっては外部委託もあるかも知れません。

規格は,どのような方法を用いても構わないので,プロダクトの要求事項を満たすようにしてくれと言っているのです。顧客からしたら当たり前のことですね。

2012年6月9日土曜日

QMS:規格6.2.2 人的資源 力量,教育・訓練及び認識(1)


2000年版のb)の記述では,教育・訓練を行うことが必ず必要なように誤解されろ懸念があるということで,2008年度版のJISは,「該当する場合には(必要な力量が不足している場合には)」を追記しています。


しかし,この説明では,「能力」と「力量」を混在する結果となりました。それは,a)項によると,「力量」は仕事が要求することになっており,人が保持していることではなく,仕事が必要とする力量に人の能力が届いていることが要求されますので,「必要な力量に到達していない場合には」,或いは「必要な能力が不足している場合には」としないとa)と矛盾することになります。


b)項は,必要な力量が持てるように」という記述を「その必要な力量に到達することができるように」と修正されましたが,それでも「力量」のい認識が現れています。


ただし,このことで6.2.2の解釈が大きく変わるものではなく,というよりも「さら~と」読んでいることが多く,全般としての誤解の方が多いようです。94年度版の「教育」が必須の残像があり,規格の「トレーニング」の意図がJIS表現の「教育・訓練」では曖昧です。

2012年6月4日月曜日

QMS:規格6.2.1 人的資源 一般


「製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員」とは,日本では,登録範囲の役員以外の管理職をも含めて「規格で要されている対象者」と勘違いしている企業が殆どです。

「要員:Personnel」は管理職の指示によって所定の作業や事務をする人を指しています。

従って,スタッフや管理職は「能力」で採用し評価されるもので,力量で採用されるものではないというアングロサクソンの常識が日本では思いつかないので,管理職も含め全従業者を対象にトレーニングをしている企業が多いです。 

日本では,学校を卒業して定時採用され,徐々に色々な仕事を覚え,管理職なるというキャリアパスですので,現実として「能力」と「力量」の区別などはなく(辞書でも),また年功序列が長く続いていたこともあり,仕方ないのかも知れません。 

別に,規格はスタッフや管理職にトレーニングを施してはいけないとは言っていませんので,製品要求事項への適合のためにトレーニングが必要であれば,続けられればよいと思います。 

「力量:competence」とは,ISO9000では,「知識と技能を適用するための実証(demonstrated)された能力」と定義されています。知識があり,それが仕事でやって見せられ,そして認められなければならいということです。当然,見て認める人はそれだけの能力がある人でなければなりません。 

「力量がなければならない」とは,「力量を確認する方法と認める仕組みがある」ことと,それが実行されていることが必要であることを意味しています。

2012年6月3日日曜日

QMS:規格6.1 資源の提供


この条項の要求事項は,条項1.1a)b)を受けて書かれています。QMSを運用(実施,維持,有効性の改善)するのですから,当然ながら,経営資源である「ヒト,モノ,カネ」が必要ですので,当たり前のことが書いて有ります。 

この条項の主語は,「組織」ですから,経営者に限定していません。責任と権限で決められた部門管理者なども該当します。


当たり前の要求ですが,「当社のQMSは役立たずだ」などと言っている経営者や管理職の多くは,この経営資源を使用していないで,目先の売上,利益,生産性などのノルマのみが関心事であることが多いです。 

きちんとQMSを運用せずに「ISOは役立たず」というのはどうかと思います。


ISOのフレームワークを用いたQMSを運用すると言うことは,従来の経営や業務運用のやり方を変えると言うことです。これらを替えないのであれば,「ISOの日や時間」が必要となり,余分な時間と資源の浪費以外の何者でもありません。