2012年5月13日日曜日

QMS:規格5.6.3 マネジメントレビューからのアウトプット


トップマネジメントの「意思決定」と「アクション」が求められています。MRの目的に関して、はっきりと意思表示が重要です。

経営資源についても言及しなければ、「軽いことばの遊び」になります。


従業員から「うちの社長は流石!」と尊敬できるかどうかですね。

経営責任を担っていない事務局が,作文することだけは避けましょう。

2012年5月12日土曜日

QMS:規格5.6.2 マネジメントレビューへのインプット


MRで検討すべき項目が示されています。いづれもMRの有効性,目的に対する結果の評価を行うためのものです。

経営層の中から社長が自分名代として選んだ腹心あるいは次期経営者と,内部監査の責任者から,社長が「なるほど,彼らはこのように当社の活動を診ているのか,その根拠はこれか」と評価できる内容が「MRへのインプット」のレベルです。

ただただ,記録を寄せ集めたものを添付したり,集計値を見せても社長は,「全部,俺が分析し,考えろ」と言っているのかと思うだけです。



MRごっこ」など、ムダな時間や記録はその分利益を減少させます。こんな状況を見ている従業員のモチベーションの低下を考えると、大損失ですね。(品質意識はなくなる)

MRの記録を見ると,その会社のレベルが一目瞭然として分かります。

2012年5月10日木曜日

QMS:規格5.6.1 マネジメントレビュー 一般


各部署、階層で実施している品質をマネジメントするために以前に決めた現行システムが、現在の状態(組織や組織が行っている業務、環境などの変化等)と比べて、

・目的に対して適切であり続けているのか

・使用している方法が妥当であり続けているといえるか

・その成果(アウトカム)は目的に対して適切であったのか

という観点で定期的にレビューし,評価し、必要な処置を取ることをトップマネジメントに求めています。

5.6.1 一般は,結構可愛そうな条項で,マネジメントレビューに関しては,一番肝心な「目的」が記述されているにもかかわらず,読み飛ばし,MRのインプットとアウトプットの項目に何か書かれて居れば,「MR」はよいと思われている傾向があります。 

MRは経営者自らおこなうことに関する要求ですので,非常に大切です。事務局の作文で,印鑑だけあればよいものではありません。 

MRの記録に関して,JISでは,「マネジメントレビューの結果の記録は,・・・」となっていますが,ISOはMRで,「なにがどのように議論されたのか,なにが決まったのか,決まらないものはなにで,それは誰が今後どう行い,報告するのか」等のMRでのレビュー内容(顛末)の記録を求めています。 

一番肝心なのは,規格は日常的な監督は組織の報告、検討に任せ、MRは日常的な変化の裏に潜む制度的な「悪さ加減」をレビューすることを経営者に求めていることです。このような全社を大所高所から見て,収集した各種データから,自社のシステムの善し悪しをみることができるのは,「経営者」しかいない,言い換えれば,それが分からないようでは経営者としての能力が不足していると言えるぐらい重要なことを言っています。

2012年5月7日月曜日

QMS:規格5.5.3 内部コミュニケーション


ISO規格は「組織内に,QMSの有効性に関する情報伝達・交換を行うために情報伝達・交換プロセスとその実行」を求めています。


JIS規格は,「communication」を「コミュニケーション」と「情報交換」二通りの日本語を使用していますが,もはやカタカナの「コミュニケーション」に統一してもよいほど一般的となっています。


返って二通りの約があると,規格の意図として異なるのではないかと勘ぐりたくなります。因みにISOは,JISと異なって,一文で記述されています。

2012年5月6日日曜日

QMS:規格5.5.2 管理責任者


ISO規格は,「トップマネジメントは,管理を構成する中の人を指名して、他の責任にかかわりなく,次に示す事項を含む責任及び権限をもたなければならない。」と言っています。職名でもありませんし,「管理責任者」という固有名詞を使うか使わないかは組織に判断です。

より意識を持たせる,モチベーションを与える,周りに認めさせるということが必要な組織であれば,使用してもよいですが,逆に言うと,「作業の質」に関して社長の代わりに経営陣を代表して実践している方を「指名」してほしいものです。決して「名誉職」でも「御輿を担がれる方」でもなく,社長同様,常に汗水垂らした機関車であって欲しいです。 

ISO事務局なるものをライン或いはプロジェクト組織で編成し,ISOに関する実務はすべて行わせ,管理責任者欄にハンコを押すだけで,「おい,ここまでやらんあかんのか,智恵をつかってISO時間を短くせい!」などと言わないようにして頂きたいですね。

このJIS規格は,日本の現状から,よかれと思って「管理責任者」という項番名をつけたと思いますが,返って誤解を生ずることが多く,弊害となっていますので,ISO規格通りに次回は戻してもらった方がよいと思います。
ISOは,「戦略的投資」であり,「経費」ではありません。ISO活動を「戦略的投資」と位置づけて活用している組織は会社に貢献しますが,「経費」と考えている場合は,「経営の足を引っ張るだけ」です。

2012年5月5日土曜日

QMS:規格5.5.1 責任及び権限


トップマネジメントは,責任と権限を明確にし,組織全体に伝達する仕組みを作り,その仕組みを品質マニュアルに記述させ,順守し,順守させ,必要があればそのことを説明出来るようにしなさいと言っています。 

企業としては,ごく当たり前のことですが,品質マニュアルの記述と現実が異なることも多いと言われています。 

指示・命令系統が曖昧であったり,個人的な関係や力加減で適切に伝わらないことがあります。報告が,報告を受け取るひとにタイムリーに伝わらないのは,このルートが日常的にないからです。ニュースでは事件・事故の説明の中でよくこのことが理由として取り上げられているということは,この双方向のルートが機能していなければ大なり小なり事件・事故や業績にマイナスの影響を与えているということですね。 

また,日本の企業は,「責任」は負わせますが,「権限」は渡さないことが非常に多いですね。「責任」を負うことは「美徳」ですが,「権限」を欲するのは「欲」であり「要求」のイメージがあるようです。 

よく社長が,部下がやったことで,「自分は知らなかった」とテレビのカメラに向かって話しをしていたり,最近では,政治家が「秘書」が勝手にやったことで自分は関与していないと言っています。  <見るに堪えないですね。> 

これを口にした社長は,ほとんど即刻社長の椅子を手放しているという現実があります。「上に立つもの」が「組織構造を作っていない」「それを実行させられない」「保身のために言い逃れを行う」のは,外部から見ると「情けない」「100%信用できない」となるからでしょう。

2012年5月4日金曜日

QMS:規格5.4.2 品質マネジメントシステムの計画


「品質マネジメントシステムの計画」とタイトルにあり,トップマネジメントに次のことを確実にしろと言われても,何のことかよく分からないのが本音ではないでしょうか。 

ISO規格は,「planning」ですので,「品質マネジメントシステムの計画立案」といわれた方が,少しは分かるような気がします。 

a)項は,ISO9001規格を活用したQMSを構築するときの構築計画のことです。

従って,最初か,或いは再構築のときのことを言っています。計画を立ててPDCAを回せと言っています。7.3項などが役に立ちますが,最初の構築時点では,構築が終わり運用に入った頃に分かるので,後の祭りが多いです。 

b)項は,組織変更やサイト移転,設備の大幅な入れ替え等の時には,準備や新しい仕組み,手順の変更が伴うので,普段と異なる活動を行ったり,一時的な仕事のやり方をとることがあります。そのときにも,「感と度胸」で乗り切るのではなく,例えば臨時のQMSや,統一の取れた計画的な活動のための仕組みを作るなどして,顧客が安心して,従来通りの製品を受け取れるようにしなさいと言っています。

親切すぎて,返って分かりにくくなっています。4.1項の次あたりの若い項番の方がよかったと思います。

2012年5月3日木曜日

QMS:規格5.4.1 品質目標


組織内の関連部署で,関連階層ごとの品質目標を明確にする行為を求めている7.1a)項が確実に実行されるように仕組みを作って実行することを求めています。 

そのためには,組織内の関連部署に対して関連部署の品質目標を明確にすることを定めた品質マニュアルが必要となります。このような品質マニュアルを,指名したマネジメントの責任者(管理責任者)に作成させるのがトッマネジメントの役割です。 

規格は,この項番で,規格1適用範囲 1.1一般のa)b)項を具現化させようとしています。従って,品質保証のメインテーマである,「製品要求事項を満たすために必要な品質目標(7.1a)項)」と,それを確実に実行するための目標と,「顧客満足の向上のためのシステムの継続的改善の目標」の設定,実行,チェック,アクションを示すことになります。 

「製品要求事項」関連は,関連する部門は必須であり,「顧客満足の向上」は全組織で取り組む目標(課題)となります。

課題を実現することで,目標が達成できるとも考えられますので,制約だらけの硬直した後ろ向きの目標だけでなく,活動感のある,前向きな,達成感を味わえる目標項目も設定すると,「元気の出るQMS活動」となります。 

「顧客満足の向上のためのシステムの継続的改善の目標」を設定していない組織の多くは,規格8.5.2予防処置が,可視化されることなく顧客満足の向上の歩みが遅くなるという共通点があります。QMSが期待するほど経営に役立っていないと思っている企業は,プロダクト,プロセス,業務の改善目標を設定することで増収・増益が期待できます。 

品質目標においての条件としてあるのは,品質目標は,品質方針に合致していなければならないことです。この品質目標は,「Quality objectives」ですので,必ずしも定量目標でなくとも,その達成度が判定可能であればよいとされています。  

なお,この二つ以外の目標を追加で設定するのは自由です。