2012年10月1日月曜日

QMS:規格7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化(顧客関連のプロセス)


組織は,次の事項を「明確にし,確定しなければならない(determine)」として,

a)お客様との間で確定させる仕事は,営業部門だけが行うのではなく,関連部門全てが同意して行うものとしています。目先の売上や利益のために,出来もしない仕事を受けることのないようにということです。

また,「引渡し」は,製品を顧客に届けるまでを範囲としています。例えば工場を出るまでではなく,顧客が指定した引渡場所まで責任を持つと言うことです。

「引渡し後の活動」は,顧客からの瑕疵担保責任の要求,引渡し後の定期検査・修理や要員の訓練提供やそのサービスの要求などです。

b)原材料等の生産財としての製品というよりは,消費者製品を意図しています。

c)完成後の製品だけではなく,上記a)b)を進めて行く過程すべてを含んでいます。ここは仕組みが必要なところです。

d)なんらかの該当するものがあれば,顧客が明示的に要求していなくとも,満たしておかなければ引き渡し後にクレームとなります。

尚,この条項は「製品に関連する要求事項」とありますので,購買品,試験・検査手法,装置,保存に関連する包装,輸送などの要求事項も含まれています。

2012年9月18日火曜日

QMS:規格7.1 製品実現の計画(3)


注記1の意味として,

製品には,「製品を受注するごとに固有の製品実現プロセスを計画,構築してから製品を実現する個別プロジェクトタイプ」と,「量産品のように決まった製品実現プロセスで生み出すタイプ」があります。 

前者の場合は,受注毎にプロジェクトのための「品質計画書」を作成する必要があることが多いと言っています。従って,a)~d)の計画策定行為を文書化した「品質計画書」を作成するということを品質マニュアルで記述することになります。 

一方,後者の場合は,既に製品実現のプロセスが存在していますので,その実態を品質マニュアルに記述すればよいことになります。ただし,新製品など従来とは異なる手順や基準が必要な場合は,プロジェクト型と同様な手続きが必要となります。

時々,全くの新製品であるのに,いきなり仕様や基準が品質マニュアルの改定として登場する事がありますが,品質管理・品質保証の観点からすると,仕様や基準を確定したプロセスや基準,レビュー・テストの結果を開示せず,言い換えると,「企画の質」・「ねらいの質」の達成状況を示さずいきなり「できばえの質」で品質を保証するというのは,「この製品だいじょうぶかな?」と思ってしまいます。

また,「企画の質」・「ねらいの質」を開示しないのは,「このビジネスは成功するのだろうか?」,と思ってしまいます。 

注記2の意味は,
条項7.3は「プロダクト:製品」の設計・開発についての要求事項について言及したものであって,プロダクトを実現するための「プロセス」の開発用の記述ではありませんが,同様に使えるだろうと言っています。ただし,注記は要求事項ではありませんので使うか使わないかは企業が,製品特性を考えて決めればよいとしています。個人的には,使用した方が圧倒的によい結果を得られると思っています。

2012年7月8日日曜日

QMS:規格7.1 製品実現の計画(2)


規格の要求としては,

a)製品を実現するために必要な品質目標と要求事項を明確にします。「品質目標」は,箇条5.4.1でトップマネジメントに対してコミットすることを求められている担当部署,階層で明確化させた製品目標のことで,「要求事項」についてはその「目標」に対しての許容限界のことです。(品質目標と要求事項がごっちゃの企業が多いです)

b)当該の製品を実現するためにどういうプロセスを確立するのか,それを稼働するためにどのような文書類を確立する必要があるか明確にし,また,稼働のためにどういう資源が必要かを明確にします。

c)その製品のためにどういう検証,妥当性確認,監視,測定,検査,試験活動が要求されているか,そして,製品の合否を判定する基準はどうあるべきかを明確にします。
d)製品実現のプロセスが要求された条件を満たし,製品実現プロセスで生み出された製品が要求事項を満たしていることを実証するために,どういう記録を取るべきかを明確にします。

2012年7月7日土曜日

QMS:規格7.1 製品実現の計画(1)


この条項は,条項4.1QMSの適用の対象である,適合製品を実現する為の製品実現プロセスについて総括的に記述します。各プロセスをきちんと整理して,当社のプロダクトは何か,そのクオリティとは何かについて整理し品質計画書に該当するものを明らかにします。

よく抽象的な,プロダクトを製品としますが,当社製品のアピールしたいこと,顧客に訴えたい当社のその製品に込めた嘘偽りのないプロダクト名を明らかにすると,整理が捗ります。製品カタログ,パンフレットに書かれていることだと思います。

例えば,「コンピュータシステムの設計開発」ではなく,「お客様の問題を解決するためのITを活用したソリューションの提供」とすると,そのことを実現するためにどのようなプロセスで,手順書・基準・記録・ツール・設備・要員等を使用して活動しているかが洗い出せます。また,間違っても品質目標が「バグゼロ」とはならないです。

「プロダクト:製品」や「品質目標」を登録証に記述する一般名称と同じとして品質マニュアルを書いていくと,実活動とは異なる,或いは事務手続きばかりの記述となり,経営に寄与しない,余分な工数・コストがかかるQMSとなります。

2012年7月3日火曜日

QMS:規格6.4 作業環境


この条項は,「確実にする」という要求ではなく,また記録も要求されていません。

各部署や階層において製品要求事項への適合を達成する為に自部門,階層で必要なインフラストラクチャーを特定し,その特定されたインフラストラクチャーを組織で決められた職責の権限で,選定・選択・充足するようにすることを品質マニュアルに記述するのが一般です。

特別なことを企画は要求しているのではなく,会社経営・運営で常日頃行っていることを整理すればよいと思います。

また,その適切性は,内部監査で,特定,選定,運用などの適切性を評価すればよいと思います。

尚,この作業環境の「環境」は,ISO14001が扱う「環境」とは異なります。また,「労働環境」のことでもありません。
 

品質マニュアルや品質関連文書でのルールは,兎角制約事項でネガティブと受け止められがちですので,たとえば,従業者のやる気の喚起の外発的動機付けの一環として「社内表彰制度」などがあれば,ここに記述しても構わないと思います。

(どこの条項でも,追加の条項でもお好きなところに書かれればよいです。)

2012年6月26日火曜日

QMS:規格6.3 インフラストラクチャ


経営資源の中で,

1.建屋,作業スペース,各種ユーティリティなどの基盤インフラ

2.設備機器とそれを動かすためのソフトなどの設備インフラ

3.輸送,通信などの情報システムなどの情報インフラ

4.その他のインフラ

尚,規格はこの条項で対象にするのは「プロダクト要求事項への適合を達成する上で必要」なものとしています。仕事のことは全てQMSで整理するのであれば,規格の意図以外のものもあっても問題ありません。

ヒト・モノ・カネ・情報・経営のスピードなど,時代と共に経営資源の範疇が増えてきており,それらをひっくるめて,「広義のプロダクト」があるわけですから,「狭義のプロダクト」や「正に製品の品質保証」に留まっていたのでは,ISOは「投資」ではなく「コスト(経費)」になって閉塞感が漂います。

事業リスクや事業継続なども必要であれば,「広義のQMS」として役立つのであれば,項番を追加してでも,QMSのマネジメント領域にする方法もあります。

2012年6月25日月曜日

QMS:規格6.2.2 人的資源 力量,教育・訓練及び認識(4)


d) 組織の要員が,自らの活動のもつ意味及び重要性を認識し,品質目標の達成に向けて自らがどのように貢献できるかを認識することを確実にする。」とありますが,これは

「自ら活動の品質目標の達成との関連性を認識していること」ですから,仕事のマニュアル等にその仕事は何のためにやる(目的)のか,なにの役に立つのか書いておくとよいですね。

人間,仕事に目的があり,「頑張ったぞ,やった~と」実感できると,「よい仕事」をするようになります。個々人も週に数回は,「ガッツポーズ」ができるような目標設定ができル仕組みがよいと思います。


時々,a)c)の次に,d)があり,おまけにe)に記録のことが書いてありますので,このd)もトレーニングの続きとばかり,「自覚・認識教育を行う」とされている企業がありますが,「ダメ,間違い」ではありませんが,なにか「洗脳教育」のように感じられて,これなども,ISO/JISの悪い評判を生んでいる一つかも知れません。


e)教育,訓練,技能及び経験について該当する記録を維持する(4.2.4参照)。」では,ISOは,「education教育」と「training訓練」「skills 技能」「experience経験」と教育と訓練を分けて書いて有るのですから,6.2.2のタイトルの「教育・訓練」ではなく「トレーニング」に替えてほしいですね。